《労働ルールの豆知識》
見落としがちなテーマ、知っておきたいテーマなど取り上げてご紹介します。
【テレワークとフレックスタイム制の合わせ技】
最近「テレワーク」という言葉が定着してきました。
テレワークは、働き方改革のひとつである「柔軟な働き方がしやすい環境整備」を目指すうえで大切なしくみであります。
知ってるよ、在宅勤務のことでしょ。
そうですね、厳密にいうと「在宅勤務」は、テレワークのひとつの形態のことであります。
今回は趣向を変えて、以下のような提案を書いてみます。
《テレワークとは》
テレワークの定義は、「情報通信技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」 であります。
そして、テレワークの形態には、在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイル勤務、があります。
『在宅勤務』とは、自宅に居ながらの就業のことであり、あえて説明は不要でしょう。
『サテライトオフィス勤務』とは、勤務先とは異なる自宅近く等の作業環境の整ったサテライトオフィスを利用し就業することです。
このサテライトオフィスは、全国で約1900か所あります。
『モバイル勤務』とは、車内や喫茶店など働く場所を自由に選択して就業する形態になります。
最近、テレワークを導入する企業が増えてきましたが、労働者にとってはありがたい制度ですね。
通勤などの時間的ロスがありませんし、仕事と家庭の両立がしやすくなるのではないでしょうか。
導入している企業の状況は、ほとんどの企業の在宅勤務は週1~2日程度であり、他の日は通常どおり事業所へ出社しているようです。
イメージ的には、在宅勤務と決めたらずっと出社しないような働き方を想像をしてしまいますが、実は違っているようですね。
ですが、そうした週1~2日の頻度でも、各企業では十分な効果が出ているようです。
テレワークにおける労務管理上の注意点はさまざまありますが、もっとも気を付けなければならないのは、労働時間の管理です。
テレワークにおいても、会社は従業員の、始業と終業、休憩・中抜けの開始と終了などの時刻を適正に把握しなければなりません。
目の前に従業員がいませんので、より慎重に管理する必要があります。
《テレワークとフレックスタイム制を合わせて導入》
たとえば、在宅勤務だからといっても勤務時間が自由というわけではなく、会社の定める始業時刻になれば仕事に取り掛からなくてはいけません。
しかし、在宅勤務ならではの事情というものもあると思うのです。
そばに赤ちゃんがいたりすれば、そりゃあ、ちょっとしたことで5分10分・・・・。
遅刻扱いにするのか、終業時刻を繰下げるのか、それとも、しらばっくれるのか。
その場合の上司の許可や届出はどうしたらいいのか。
就業規則等にきちんと定めて、通常出勤者との間で不公平感がでないよう運用しなければなりません。
なんだか面倒くさいですね・・・・。
そこで、フレックスタイム制を同時に導入してはいかがかと思うのです。
フレックスタイム制とは、始業終業の時刻を従業員の決定にゆだねる働き方です。
1日24時間の中で完全な自由選択にするのではなく、たとえば、「勤務時間は、朝6時から夜22時までの間で選択し、11時から15時は必ず勤務時間とする」など、フレキシブルタイムやコアタイムの設定ができます。
そして労働時間については、1ヵ月以内の清算期間ごとに所定労働時間と実際の勤務時間との過不足を計算します。
例えば、清算期間を1ヵ月とし、期間中の所定労働時間が170時間であれば、残業とは、その170時間をオーバーした時間であり、その部分にのみ残業代を支払えばOKです。
逆に、実際の勤務時間が170時間に足りなければ、賃金カットや、翌月の労働時間数をその分増やせばよいのです※。
※増やす限度は法定労働時間の総枠に範囲内に限ります。
ですから、「今日は5時間、明日は9時間」なんて働き方が可能でありますし、
「今日は8時間超えたから残業代支給」とか「10分遅刻したからその分の賃金カット」などの計算をする必要がありません。
もちろん、各日の勤務開始や終了の時刻、休憩・中抜けの時刻は、きちんと把握しなければなりませんが、一日ごとの計算が不要というのは、勤怠の管理や給与計算をする上で、作業量を大きく節約できると思いませんか。
そろそろ、ウチもテレワーク導入しようかなと思ったら、フレックスタイム制との同時導入を検討してみてください。
ばば社労士事務所がお手伝いをいたします。
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