《労働ルールの豆知識》

見落としがちなテーマ、知っておきたいテーマなど取り上げてご紹介します。


【募集と採用について気を付けたいこと】

「採用」に関して、判例をひとつご紹介します。

 

最判昭48年『三菱樹脂事件』

「企業者は、・・・・契約締結の自由を有し、・・・・いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別な制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるものであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。」

 

つまり、どの者を採用するかは企業の自由であり、不採用の理由が思想・信条であるとしても、それが当然に違法というわけではない、と示しています。

 

ところで、法律では、男女雇用機会均等法や雇用対策法によって、性別や年齢による募集・採用の差別を行なってはならない、としています。

採用に関して、判例では「企業の自由」としていながら、個別の法律でその自由を禁じるのは矛盾がありますので、とてもデリケートな問題になります。

こらへんにボーダーラインがあるのかというと、企業の私的自治の原則が社会的許容の限度を超えてしまう場合には法による制限がかかる、ということであります。

 

分かったような分からないような話ですが、どの応募者を採用するかは、基本的には、どの人材が欲しいかで決める自由があるということであり、不当な差別が行われるなどの限度を超えちゃいかんよ、ということですね。

 

一方、「募集」については、欲しい人材の範囲に限定して求人する、というわけにはいきません。

皆さまのお店で、

「ウェイトレス募集 30歳まで」

などと求人してはダメですよ。

 

「ウェイトレス」は女性限定ですし、年齢制限もしています。

 

「ウェイター募集」これもダメです。

「ウェイター」は男性限定なので。

 

じゃあ、どうすりゃ良いのよ・・・・。

 

「ウェイター・ウェイトレス募集 年齢不問」 と、しましょう。


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